
代表挨拶:伝統の叡智を科学の光で社会へ実装する
「空手」という武道に出会い、半世紀を超す研鑽を積み重ねて57年。指導者として歩んだ47年という月日は、私に一つの揺るぎない確信を与えてくれました。それは、古来より受け継がれてきた「武道の身体操作」には、現代人の心身を劇的に変える深遠なる機序(コード)が眠っているということです。
かつて「実戦空手息吹之會」より胎動し、「NPO法人武道の学校」として歴史を刻んできた私たちの活動は、本年、設立31年目という新たな地平を迎えました。現在は「運動脳科学研究所」を拠点とし、武道の叡智を「感覚」ではなく「科学」の言葉で解明し、社会に還元することを使命としています。
私の歩みは、常に挑戦の連続でした。 4歳で空手を始め、14歳で極真空手福岡県分支部指導員を拝命。16歳で千葉真一氏率いるJAC(ジャパン・アクション・クラブ)の空手部門コーチに招聘され、直後に主演俳優としてデビューいたしました。表現者として身体の極致を追求した若き日、そして2013年にはホノルル政府の招聘によりハワイ陸軍州兵への軍事格闘術指導や、UFCジムにおける武術指導を通じて、空手の普遍性を世界に問うてまいりました。
それらすべてが、現在の「神経科学的アプローチ」を支える源泉となっています。2021年より開始した国立大学法人九州工業大学との共同研究は、2024年の国際学会「NEURO2024」での発表を経て、2026年2月、国際学術誌『Journal of Digital Life』への査読付き英文論文掲載(Vol. 6, Art. 3)という大きな結実を迎えました。
本研究では、空手の「型」が初心者の脳、特に前頭前野において酸素化ヘモグロビン濃度を上昇させ、効果的に活性化させることを科学的に立証。この脳活動の活性化は、単なる運動量ではなく「意識的な動作制御(認知努力)」に深く相関しているという重要な知見を得ております。この科学的基盤を軸とする「痛みと闘う研究所」では、脳科学的視点から痛みの根源にアプローチし、長年苦難に直面してきた方々に新たな希望を届ける具体的な改善メソッドを実践しています。
かつて子どもたちの成長を育む「教育」の場であった当法人は、今、脳科学という翼を得て、医療従事者、表現者、アスリート、そして高齢者や病苦に悩むすべての人々を支える「未来の研究所」へと進化を遂げました。武道が持つ「型」の力を、誰もが享受できる健康維持の礎として、私たちはこれからも社会へ実装し続けてまいります。
伝統の継承と科学の革新。この両輪をもって、当法人は今後も皆様の健やかな人生と心身の安寧に貢献してまいります。
NPO法人運動脳科学研究所 理事長 高木淳也


北九州学研都市・運動脳科学研究所

2021年 国立大学との共同研究始動 ― 50年の「体感」を数値化する挑戦
2021年、高木淳也は50年に及ぶ空手家としての歩みを、全く新しいステージへと進化させた。国立大学法人九州工業大学との共同研究プロジェクトの始動である。本プロジェクトは、高木淳也の「57年の実践知」と、国立大学法人九州工業大学が誇る「最先端の脳科学」が融合した共同研究プロジェクトです。
本研究を学術的に導き、2026年の国際論文受理へと導いた共同研究者は、 夏目季代久教授です。
国立大学法人九州工業大学 大学院生命体工学研究科 教授 専門分野:脳情報工学、生体測定学、ニューロフィードバック。
この挑戦の核心は、「空手の身体操作が、脳にどのような質的変化をもたらすのか」という問いに対し、一切の主観を排した客観的データを突きつけることにありました。
計測デバイスと測定手法:脳を可視化する「fNIRS」の導入
実験の主役となったのは、最新の脳計測装置「fNIRS(近赤外分光法)」で、この装置は、頭部に装着したセンサーから近赤外光を照射し、脳血流中の酸素化ヘモグロビン濃度の変化をリアルタイムで測定するものです。従来の大型設備とは異なり、装着したまま「動く」ことが可能なこのデバイスを用いることで、空手の「型」というダイナミックな全身運動を行っている最中の脳活動をダイレクトに捉えることに成功しました。
研究の企図:前頭前野における脳機能最適化の検証
研究の標的は、脳の司令塔である「前頭前野」に絞られ、感情のコントロール、集中力、そして高度な意思決定を司るこの部位が、空手の「型」を反復することによって、どのように活性化、あるいは鎮静化(最適化)されるのかを課題に、高木は自身の57年の空手鍛錬の研鑽で得た「不動心」という感覚が、前頭前野の酸素化ヘモグロビン濃度の推移としてグラフ化できるのではないかという仮説を立て、ラボでの実証実験に没頭したのです。
2022-2023年:試行錯誤とデータ蓄積の深化
2022年から2023年にかけては、実験の精度を極限まで高めるための「格闘」の時期となりました。 被験者が「型」を行う際の、突きや受けの瞬発的な動作が脳血流に与える影響を、コンマ秒単位の時系列データとして蓄積。初心者が特定の「型」を習得する過程で、脳の反応がどのように洗練されていくのかを追い続けました。
この3年間は、武道という伝統文化に「デジタル」と「脳科学」というメスを入れ、身体操作を脳機能向上のための「新しいバイオテクノロジー」として定義し直すための、極めて純粋で挑戦的な研究期間でした。ここでの膨大なデータ収集が、後の学会発表、そして国際的な学術公証へと繋がる全ての源泉となったのです。

2024年 学術的公証への飛躍 ― Neuro2024における成果発表
2021年から3年間にわたる「運動脳科学プロジェクト」の地道かつ詳細な実証データは、2024年7月、国内最大級の脳科学の祭典である『第47回日本神経科学大会(Neuro2024)』という公の舞台において、客観的エビデンスとしての産声を上げました。この学会での発表は、武道家・高木淳也が「修行の場」から「科学の最前線」へと立ち位置を変え、世界の神経科学者たちへ直接そのメカニズムを問い、検証を受ける決定的な挑戦でもあったのです。
科学的根拠:fNIRSによる血液動態反応(ヘモダイナミクス・レスポンス)の可視化
本大会において提示したデータの核心は、最新の脳計測デバイス「fNIRS(近赤外分光法)」を用いて捉えた、空手の「型」稽古中における脳内の「酸素化ヘモグロビン濃度」の変化です。一般的に、特定の脳部位が活性化すると、その神経細胞の酸素消費を補うために、周辺の毛細血管において酸素を多く含んだ血液量が増加します。この「血液動態反応」をリアルタイムで計測。2021年より研究の企図として掲げた「前頭前野へのアプローチ」が、単なる主観的な体感ではなく、コンマ秒単位で変動する「酸素化ヘモグロビン濃度の推移」として明確にグラフ化されました。
汎用性の実証:全世代における統計的有意差の特定
研究成果に基づき、fNIRSによって取得された精緻な時系列データを統計学的に解析。その結果、特定の「型」の動作を開始してから「わずか30秒以内」に、感情制御や高度な意思決定を司る「前頭前野」において、脳活動の活性化を示す有意な血流上昇反応が確認されました。
熟練者に限定されないこの「汎用性」と「即効性」こそが、本研究が提示した科学的エビデンスの最大の強みなのです。幼児から若者、障がい者、そして高齢者に至るまで、老若男女を問わず、正しい身体操作が脳の司令塔を最適化(リセット)させる可能性を、客観的な「数値」によって提示したのです。
学術的評価と社会実装への確信-「30秒のリカバリー」 -
「Neuro2024」での発表は、専門家による厳正な検証プロセスへと踏み出したことを意味します。学会場に集まった神経科学者たちとの議論を通じて得られた学術的評価、およびデータの再現性に対する確実な手応えは、57年の実践知が「主観的な感覚」を脱ぎ捨て、世界に通用する「客観的なエビデンス」へと脱皮する歴史的な転換点となったのです。
伝統の「型」は今、科学という光を浴びて、現代社会のストレスを解消する「次世代の脳機能向上メソッド」としての地位を確立し、この学会での成果こそが、次なる学術的結実、そして社会実装への揺るぎない礎となったのです。

2026年 学術的結実 ― 国際論文の受理と「運動脳科学」の確立
2021年に産声を上げた国立大学法人九州工業大学との共同研究プロジェクトは、開始から5年という歳月を経て、2026年2月、最大の到達点である国際学術誌への論文掲載という形で結実した。掲載誌は、デジタル時代のライフスタイルを学術的に検証する国際誌『Journal
of Digital Life』(Vol. 6, Art. 3)。厳正な査読(ピア・レビュー)という科学界の厳しい審判を通過したこの事実は、高木淳也が57年に及ぶ武道研鑽で掴み取った「実践知」が、個人の経験則を超え、人類の共有財産としての「知」に昇華されたことを意味する。
論文の核心:全世代に共通する脳機能最適化のエビデンス
掲載された論文"Pilot study on changes in frontal oxygenated hemoglobin levels
in beginners during practice of Karate Forms"の核心は、空手の「型」が人間の脳動態、特に「前頭前野」にいかなる影響を与えるかを解明した点にある。
2021年の研究始動時から一貫して追い求めてきた「脳のリカバリー」という企図は、統計学的な解析によって証明された。fNIRS(近赤外分光法)を用いた測定により、特定の「型」稽古の開始から「わずか30秒以内」という極めて短時間で、感情制御や高度な判断を司る前頭前野の「酸素化ヘモグロビン濃度」が有意に上昇。脳の司令塔が活性化し、ストレス耐性(レジリエンス)を高めるスイッチが入るメカニズムを世界に向けて公表した。
普遍性の公証:老若男女・障がいを問わない「汎用性」の確立
本論文が示した最も画期的な知見は、その「汎用性」である。 武道の熟練者に限定される技術ではなく、運動経験のない「初心者(beginners)」においても同様の脳動態反応が確認されたことは、本研究の社会的価値を決定づけた。これにより、幼児から若者、障がい者、そして高齢者に至るまで、老若男女を問わず、正しい身体操作が脳機能を自律的に調整できるセルフケア・メソッドであることが証明された。薬物や特殊な機材に依存せず、自らの身体ひとつで「脳を最適化」できるという事実は、現代社会が抱えるウェルビーイングの課題に対する、極めて強力な回答となったのである。
結実、そして社会実装への新章
14歳での指導員抜擢から47年。1995年の青少年育成団体創設から30年。そして2013年のハワイでの実戦的検証を経て。 2021年に幕を開けた「伝統を科学で解剖する」という挑戦は、2026年、揺るぎない「エビデンス」として完成した。学術界において博士学位(PhD)の授与要件に相当する高度な研究業績として認められたことは、今後の大学教育や行政施策への導入に向けた、絶対的な信頼の礎となる。
伝統の「型」は今、運動脳科学という確かな理論を纏い、次世代の心身を救うための「武器」として、本格的な社会実装のフェーズへと移行したのである。
- 歩 み -

- 脳を30秒でリセットする空手型 ――
「空手型細分化」が導く脳機能の科学的変容本画像は、脳科学の権威である脳内科医・医学博士の加藤俊徳(写真右)が開発し、国際特許を取得した技術「MRI脳
個性分析画像法」に基づき、精緻に診断された高木淳也の脳画像である。加藤プラチナクリニック において実施された、814枚におよぶMRI断層画像の解析により、その特異な脳機能が浮き彫りとなった。
特筆すべきは、左脳における右足の運動領域(写真左赤枠)の変容である。長年にわたる過酷な修練によって研鑽された「脳機能」は、当該部位が台形状を呈するほどに酸素代謝が活性化している。空手および筋力トレーニングを軸とした合理的な訓練プログラムの成果は、身体的変容に留まらず、脳機能の深部へと克明に刻まれており、これこそが「運動効果」の不可逆的な立証に他ならない。
こうした運動効果の科学的妥当性については、国際ジャーナル『Journal of Digital Life』掲載の査読付き英語論文「Pilot
study on changes in frontal oxygenated hemoglobin levels in beginners during
practice of karate forms」によっても裏付けられている。
同研究では、空手型を関節部位ごとに最小単位へ分解した「空手型細分化」を用い、未経験者の前頭前野における酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)濃度の変化を近赤外分光法(fNIRS)で計測した。
その結果、検証された「型A」「型B」「型C」のすべての段階において、運動開始後速やかに前頭前野の有意な活性化が確認された。特に静的な要素を含む「型A」および「型B」においては、酸素化ヘモグロビン濃度の極めて顕著な上昇が認められており、これが短時間での脳の状態の「リセット」および「ブースト」を可能にする科学的根拠となっている。
また、最も強度の高い「型C」においては、初心者の認知負荷や運動制御の要求が脳機能への刺激に寄与することが示唆された。 高木淳也が提唱するこのメソッドは、有酸素および無酸素運動を戦略的に誘導し、前頭前野を含む各運動野への脳血流量を亢進させ、ニューロンの活性化を企図するものである。畳一畳の空間で完結するこのプログラムは、心拍数に基づき客観的な運動強度を管理しつつ、海馬周辺における神経発達との相関についても研究を深化させている。
運動強度の算出には、医学的根拠に基づくカルボーネン法(Karvonen Method)を採用している。
【目標心拍数の算出式】 目標心拍数 = {(最大心拍数 - 安静時心拍数) × 運動強度(%)} + 安静時心拍数
最大心拍数の算出については、一般成人には従来の公式を、高齢者に対してはより精緻なTanaka公式を適用し、個々の生理学的状態に最適化されたアプローチを行う。
・一般成人: 最大心拍数 = 220 - 年齢
・高齢者 : 最大心拍数 = 207 - (年齢 × 0.7)
本研究は、最小の運動量で脳機能に最大限の刺激を与える「ニューロ・コンディショニング」として、現代社会における認知機能の維持やパフォーマンス向上への寄与が期待されている。
運動原理は、ジョイント・バイ・ジョイントアプローチ応用し、大きな動きに適しているモビリティ関節と、適していないスタビリティ関節を意識した空手形細分化としており、空手未経験者でも負担のない動きでマルチタスクを体験することができる。
これらの運動により、BDNF(脳由来神経栄養因子)の分泌量が増え、ニューロンや毛細血管の再生が促進され、脳機能向上が図れるのかを研究する。これらはリハビリにも応用できるため、空手形細分化運動による脳機能の発達が期待でき、幼少期には、脳機能発達を促し、中高年には生活習慣病を予防し、高齢者には認知症等を予防し、災害や環境問題に取り組める心身向上を図り、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献することを目的としています。
神経障害性疼痛分野「Exercise Neuro science for Pain Reduction(痛み軽減のための運動脳科学)」
国内には2000万人を超える神経障害性疼痛(慢性疼痛)患者が存在するとされ、扁桃体、前帯状回、海馬、海馬傍回部位の灰白質体積が低下することが報告されている。
高木は、厚生労働省の「統合医療」情報発信等推進事業(eJIM)等でも高い科学的根拠が紹介されている「瞑想・マインドフルネス」の知見(特定の症状に対しエビデンスレベル「I」、推奨度「B」相当)を理論的基軸に据えており、過剰活動を起こした自律神経に対し、独自の運動脳科学プログラム「ENS-PREP(Exercise Neuro science for Pain Reduction(痛み軽減のための運動脳科学))」を考案した。
現在、国立大学との共同研究等を通じて神経伝達回復における脳機能研究を進めており、自らMRIやX線等を用いて、脳活動の変化や身体機能への効果についてデータの収集・検証を行っている。






